以前の投稿で、“体幹”の事に触れました。
その中で、『腰痛の方、腹部や背部に傷害がある方には有効な使い方もある』と書きました。
その具体例を挙げたいと思います。
誰もがご存知の陸上100m、200mの世界記録保持者、ウサイン・ボルト選手です。
彼は、生まれつき“脊椎側弯症”という障害を持っていました。
(簡単に説明すると、背部から脊柱を見た時に真っ直ぐでなければならないはずが、側方に歪んでしまっているという状態です)
その為、パフォーマンス時の負荷が1箇所に集中してしまい、ジュニア時代のボルト選手は左ハムストリングスの肉離れに常に悩まされていました。
そこで、その身体的欠点を克服する為に計画的に肉体改造に取り組みます。
まずは、
【上半身と下半身の連動性を高め、特定の筋肉(ハムストリングス)だけに負荷が掛からないように、“体幹”のトレーニングを取り入れました。】
そして、高めた連動性をよりパワフルかつ、爆発的にする為、週5回の高強度ウエイトトレーニングを実施しました。
決して、『体幹が弱いから・・・』というような安易な裏づけからではなく、自分自身の身体的欠点を補うために“体幹”そして“全身”を鍛えたのです。
そして、ウエイトトレーニングの内容も基本に忠実に、ベーシックな種目からクイックリフトまで徹底的に行ったそうです。
その結果、彼は3年間で10㎏の増量に成功し、北京オリンピックで伝説を作りました。
私は以前から思っているのですが、日本人のアスリートやトレーナーの方々は、ウエイトトレーニングをすると、
『パフォーマンスとは違う筋肉の使い方だから・・・』
『関節が硬くなってしまうから・・・』
『捻りの動きがないから、競技で生きない・・・』
『余計な部分に筋肉が付きすぎて、動きが鈍くなるから・・・』
などと言ってスタンダードなウエイトトレーニングを避け、片手でダンベルをぶら下げ、中国雑技団のようなことをしたり、
『クイックリフトは手首や腰に危険だから・・・』
と言って強く引っ張ったら切れてしまいそうなチューブや、赤ちゃんでも持てそうな軽いバーベルを使ったりしています。
果たしてその程度のトレーニングがパフォーマンスアップに役立っているのでしょうか?
日本人がそんな事をしているうちに、アメリカ人は勿論、同じアジアの韓国人や中国人までもがベーシックなウエイトトレーニングでどんどんパワーアップして記録を伸ばしています。
私の韓国人の友人がジムでのトレーニング風景を見てこう言いました。
『あべさん、にほんじんのトレーニングはウォーミングアップだけでおわりですね。』
私はとても恥ずかしかった・・・
今こそ、日本人もボルト選手のように徹底的に高強度でトレーニングしなければ!!!