ドローインの弊害

最近、テレビや雑誌などで“ドローイン”と言ってお腹を凹ます事で、腹横筋という筋肉を教育し、ウエストのサイズダウンを促したり、腰痛の予防や改善に役立てているという物をよく見かけます。

そもそも、この“ドローイン”というのは、深層腹筋群である腹横筋、横隔膜、多裂筋、骨盤底筋群を正しく使えるように教育する為、ヨガやピラティス、リハビリテーションの現場で古くから行われてきた手法です。

深層腹筋群は呼吸との関わりがとても深い為、息を吸いながらお腹を膨らませ、息を吐きながらお腹を凹ませるという事でトレーニングするパターンがスタンダードです。

Woman with hands on abs

このトレーニングは僕もクライアントに行って頂いたり、

『ウエストが細くなった!』

『腰痛が改善された!』

『結果的に内臓も刺激するので、便秘が解消された!』

などとプラスの変化を体感される方がとても多くいらっしゃいます。

 

しかし、最近のクライアントの方で多くいらっしゃるのが、この“ドローイン”は物凄く上手にされるのですが、それが弊害になり

『いついかなる時でもお腹を凹ませてしまう』

というあまり好ましくない癖を付けてしまっている方々です。

 

確かに、“ドローイン”する事は脊柱を安定させ、身体に軸を形成します。

しかし残念な事に、それだけでは強い力やここ一番での爆発的な筋力発揮をする事は出来ないのです。

特にスポーツ選手がこんな状態になってしまったら致命的です。

では、爆発的な筋力発揮をする瞬間はどうするのかというと・・・

“お腹が破裂するぐらい一瞬で膨らます”のです。(ちょっと誤解を生む表現かな・・・)

イチロー選手が打つ瞬間に“フンッ”と力を入れるのもそう!

伊達公子選手がスマッシュを打つときに“フンッ”と言うのもそう!

室伏選手が投げる瞬間に叫ぶのもそう!・・・かな?!

やはりトップアスリートは自然に行っているのです。

 

何事も、表と裏があります。

“ドローイン”は素晴らしいトレーニングです。それを更に生かすためには、その逆も出来たほうが良いと思います。

やり方が解らなければ、お近くのトレーナーに相談してください。